『同窓生便り』第9号 80回生 浅川絵里佳「私の根源」

甲南小学校80回生の浅川絵里佳です。
私は甲南小学校、甲南女子中高と進学した後、宝塚音楽学校へ進み2012年まで藤咲えりという芸名で宝塚歌劇団に在団しておりました。
退団後は音楽教室での歌の講師や芸能事務所で子役への演技指導、昨年からは甲南女子大学でダンスパフォーマンスの非常勤講師と教えをしながら、ディナーショーやライブ等自身の音楽活動も行っております。

高校卒業後から20代の殆どを過ごした宝塚は、芸事だけではなく考え方の根幹となりました。でも甲南はもっともっと深い根源の部分を作ってくれた様に思います。

特に心に残っているのは学習発表会。準備に掛かり始める独特な空気感、ワクワクソワソワする感覚が堪らなく好きでした。
3年生の時の演目「ピーターパン」は、配役を第3希望まで提出でき私は主要キャストの役を3つ書きました。
しかし配役された役はアンサンブルで台詞も少しだけの人魚役。演りたかった役を演じている同級生が羨ましくて、家で彼女たちの役になりきり1人公演していました。勿論人魚役も楽しく演じていました。台詞が一言か二言くらいなので失敗してはならないとそこに全集中、全力をかけていた記憶があります。

練習も終盤のある日、皆の前で山口先生が「1番輝いているのは浅川さんだよ。」と仰ってくださいました。
山口先生は私のやる気をお褒めくださったのだと思いますが、出番も少なく誰も観ていないだろうと思っていた私は驚きと嬉しさで不思議な感覚でした。
褒められたくて頑張っていたことではなく、ただやりたくてやっていた事を認められたというのが嬉しく卒業のビデオレターでちゃっかりと将来の夢は女優と答えていました。
この頃は宝塚歌劇を観たこともなく何の芸事も習ってなかったので、そう言う道もあるのだと可能性を広げて頂いたと思います。

他の様々な行事も印象的で全力で取り組める環境で育ったこと、甲南小学校に入れてくれた両親に感謝しています。今は教える立場ですのであの時の山口先生の様に、誰かを前へ進ませる後押しができる存在になりたいと思います。
大切な母校、甲南小学校の益々の発展をお祈りしております。

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生誕30周年を記念した同窓会

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山口先生のコンサートで(前列右端、浅川絵里佳)

 

別記
タカラジェンヌとしては、甲南小学校を卒業された85回生の久城あすさんと94回生の紅咲梨乃さんが現在ご活躍中です。
(HP編集委員長 松田 泰英)