故永井前理事長の「大きな耳」

会長 玉井 新吉(28回生)

 
 永井弥太郎前理事長(18回生)が、去る3月21日に84歳の天寿を全うされた。 平成6年から9年間にわたる甲南小学校理事長としてのご貢献に対し、深く感謝申し上げるとともに、衷心よりご冥福をお祈り申し上げる。
 永井先輩は母校の理事長である以前に偉大な経営者であった。三菱レイヨンの社長に就任された時は、丁度バブルが崩壊していく非常に難しい時期であったが、先頭に立ってしっかりと事業を育て基盤を固め、常に前向きの姿勢を崩さない経営者であった、と日本経済新聞は評している。永井さんは「大きな耳」の持ち主で、気さくに若手社員と話す一方、社外にも知人が多く、経営者としての判断材料になる情報に耳を傾けておられた、と皇芳之会長(三菱レイヨン)が話しておられる。
 永井理事長のこの「大きな耳」が、甲南小学校の発展をもたらすことにもなった。じっくりと意見を聴きながら適確な判断をして行かれるスタンスに、理事会は活性化した。経営の安定路線が敷かれ教育内容も充実されていった。プールが新設され幼稚園の三年保育 を実施する等、内外の情勢に対応することにより甲南小学校の評価が高められたのである。
 永井先輩は、東西の同窓会総会懇親会に殆ど出席されていた。人間的魅力いっぱいの温顔にもうお目にかかれないと思うと本当に淋しいことである。
 本年の新入会員は90回生の58名の諸君である。感動の卒業式を終えた直後全員集まってもらって、同窓会として歓迎の意を表し恒例により副会長正副幹事長から記念品を手渡した。感謝の気持ちを忘れずに充実した学疲生活を送ってほしい。
 昨年の総会懇親会は、47回生67回生の行き届いたお世話で大変盛大で楽しい一時を過ごすことが出来たことに感謝している。本年はすでに48回生と68回生の皆さんが、忙しい中をくり合わせて準備を進めておられる棟だ。100周年の助走になる様な集いになればと期待し、楽しみにしている。

        (甲南小学校同窓会会報(9月1日発行)に掲載)